近所のおばあさんは庭でハーブを育てるのが趣味だった。
小さな庭にはラベンダーやミント、ローズマリー、バジル…まるで小さな植物園のようだった。
とっても気さくな人で家の前を通るときに「今日はミントがいい香りでしょ~」なんて笑顔を向けてくれた。
ときどき摘み立てのハーブをおすそ分けしてくれたりもした。
「お茶にして飲むと元気が出るよ」とにっこり。
ハーブを使った手作りオイルや簡単なハーブソルトをプレゼントして誰もがその温かさに触れていた。
しかしそんな平和な日々が、突然終わることになるとは誰も想像していなかった。
ある日、おばあさんの家にたくさんの人が訪れた。
近所の人々が何事かと見守る中、おばあさんはゆったりとした笑顔で立っていた。
「ん?何か問題でも?」
庭の隅にある小さな葉の群れに目を留めた。
「間違いない…これは大麻ですね」
なんとハーブに紛れて大麻が育っていたというのだ。
これまで無邪気にハーブを配っていたおばあさんが実は小さな秘密を抱えていたことを誰も知らなかった。
手錠をかけられ連行される時、おばあさんは少し肩をすくめてこう言った。
「海外じゃ普通のことよ。これはブルードリーム、こっちはOGクッシュ…バッズも完璧に育ってるし、テイスティングも最高だったのにねぇ…」
どうやら大麻の種類のことを言ってるらしい。
そして最後にニコッと笑い、肩越しに呟いた。
「まぁ、私のハーブ園、少しだけ規格外だったってことね!」
その言葉を残して、警察車両に乗せられるおばあさんの背中は近所の人々の記憶に深く刻まれた。
近所の人たちは「あのおばあさん、やっぱりちょっと普通じゃなかったな」と苦笑いせずにはいられなかった。



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