私は病院で夜勤をしている看護師だ。
夜中の見回りは静かで入院患者の寝息だけが響いている。
ある晩、コールが鳴った。
部屋番号は「203号室」。
だが――その部屋の入居者は一週間前に亡くなっている。
遺品整理も終わり部屋は空のはずだった。
嫌な汗が流れたが、仕事だから確認しないわけにいかない。
でも実際、怖い話とかみたいな感じに廊下が真っ暗という訳ではない。
薄明りだがちゃんと電気はついてるし懐中電灯とかも必要ない。
203号室の前についた。
誰も居ないはずの病室。
恐る恐るドアを開けると…..
なんと人がベットに横たわっていた….!
でもよく見ると…
205号室の長田さんだった。
「長田さん、一体どうしたの。大丈夫!?」
「うぅぅ…なんか体がすごい寒くてな….うぅ…」
呆れて何も言えなかった。
「当たり前でしょう。暖房もついてないし布団が無いんだから寒いに決まってるでしょ!」
「え…なんで布団が無い?しかもなんか部屋の様子もおかしい…」
「はぁ…ここは違う部屋でしょうが…とにかく自分の部屋に戻って!」
長田さんを部屋に帰してスタッフステーションへと戻った。
先ほどのナースコールの対応記録を書いていると
ふと廊下の監視カメラのモニターを見た。
203号室のドアが見える。
「え…?」
人影が203号室のドアを開けて入っていった。
「また長田さん?でも長田さんは確かに自分の部屋に戻した…」
急ぎ足で長田さんのいる205号室へと向かった。
205号室に行って部屋の中を確認すると、そこには布団にくるまった長田さんが静かに寝息を立てていた。
背筋がゾッとした….
恐る恐る203号室へと進んだ。
「一体誰が203号室に…?」
私は今、203号室のドアの前にいる。



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