一時期、世間を震え上がらせた「ボウガン事件」や「無差別パチンコ銃事件」を覚えているでしょうか。
最近、また似たような恐ろしい事件が起きてしまいました。
それはある夜、会社帰りのサラリーマンが道端で同僚を待っていたときのことでした。
「カンッ」という甲高い音と同時に突然彼は頭を抱えて倒れ込みました。
頭蓋骨が陥没するほどの重傷
――原因はパチンコ玉が直撃したことでした。
救急搬送され一命はとりとめたものの、誰がどうやって撃ち込んだのか分からず警察は「通り魔事件」として扱うことになりました。
数日後、別の地域でも同じような事件が発生しました。
今度は住宅街。
窓を開けて外を覗いた主婦の顔面にパチンコ玉が直撃したのです。
夜風を浴びながら涼んでいた親子。
コンビニの前で立ち読みしていた学生。
どれも狙ったように「立ち止まっていた人」ばかりが被害者になっていきました。
被害者は「バチン!」という乾いた音を聞いた瞬間に崩れ落ちる。
何かが飛んでくるのを見た人は誰もいませんでした。
やがて町全体に噂が広がりました。
「立ち止まっていると狙われる」
「夜道では歩き続けろ」
「窓を開けて外を見るな」
まるで都市伝説のような注意が飛び交い、町は異様な緊張感に包まれていきました。
数週間後、ついに犯人が逮捕されます。
捕まったのは近隣に住む無職の中年男性。
押収された部屋の中には、改造されたエアガンのような装置と大量のパチンコ玉が見つかりました。
男は窓やベランダから通行人を狙いただ無差別に撃ち込んでいたのです。
動機を聞かれても「立ち止まっている人間が目障りだった」としか答えなかったといいます。
事件は解決した――はずでした。
しかし、犯人逮捕後も「パチン!」という乾いた音を聞いたという通報が後を絶ちません。
しかも現場近くで、誰もいないのにパチンコ玉だけが落ちていることもあったのです。
果たしてそれは模倣犯なのか、それとも……。
どうか外では不用意に立ち止まらないように。
出来れば走り続けてください。
さもないとあなたの頭にパチンコ玉が飛んでくるかもしれません。



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