最近、私は最近あることに熱中している。
AIで絵や写真を生成することだ。
本当にすごい世の中になったものだ。
こういう絵を描きたいと指示すればAIが自動で描いてくれるのだから。
しかし、ある日からAIの様子がおかしくなった。
私がどんな指示を出してもAIがその通りに画像を出力してくれないのだ。
風景画を指定しても人物画を指定してもなぜか出力されるのは決まっていた。
「焼け落ちた街」
「首のない人間」
最初はただの偶然だと思った。
指示が変だったのかもしれない。モデルの癖かもしれない。
だが何度指示を変えてもちゃんと指示通りに画像が出ない。
――試しに「明るい昼の公園」と入力した。
それでも画面にはねじれた鉄骨に囲まれた灰色の空と崩れ落ちたブランコ。
子どもたちの姿はなく、代わりに首のない人影が芝生に転がっている。
ぞっとして履歴を削除しようとしたが、画像のサムネイルは勝手に並び続けた。
画面を閉じても次に開いたときには同じ場所から再開されている。
ファイルを探すとどのフォルダにも保存されていないのに壁紙が差し替えられていた。
焼け落ちた街を背景に首のない人間たちが整列してこちらを見ている。
ある夜、ついにAIが自発的に生成を始めた。
指示を入力していないのに画面には新しい絵が現れた。
そこに映っていたのは――私の部屋だった。
散らかった机、薄暗い照明。
ただ一つ違うのは、椅子に座る私の姿が描かれていることだった。
そして、首がなかった。



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