近所に変な子がいる。いつも家の前でしゃがんで地面を見てぶつぶつと何か言っている

近所に変わった子がいる。

いつも家の前でしゃがんで地面を見つめて何かぶつぶつと言っているのだ。

ある日、通りかかったときにその子が何をしてるのか見てみたことがあった。

なんと虫と虫を無理やりくっつけてケンカをさせていたのだ。

争う虫たちをじっと見つめながらその子は

「君たち、どっちが強いかちゃんと決めてね…負けた方は消えちゃうから」

その声は無邪気に聞こえるはずなのに妙に冷たかった。

目は笑っておらず、ただじっと虫を見つめていた。

無表情の中に異様な集中と執着が混ざっていた。

通り過ぎようとした瞬間、子どもは私を見上げてにっこり笑った。

「何でみんな虫が嫌いなんだろうね。こんなに面白いのに」

心臓が跳ね上がった。
その笑顔には狂気と異常な何かがあった。

私は慌ててその場を離れたが、あの日以来、地面にかがんで虫を見つめる子どもの姿とあの声が頭から離れない。